インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
するといつの間にか教会の外に整列していた列席者が、私たちに向かって親の仇のように五色豆を投げつけてきた。

かけられる言葉は『おめでとう』ではなく、もちろん『鬼は外~!』だ。

「ちょっと尚史、どこに行くつもり?!」

「決まってんじゃん、めでたく夫婦になったことだし早速子作りだ!今夜は寝かさないぜ、ハニー!」

「ええぇぇぇぇぇぇーっ?!」

教会の鐘がすごい速さでけたたましい音を鳴らし続け、私の絶叫をかき消した。

「私、これからどうなっちゃうのー?!」と、漫画や恋愛小説のあらすじなんかによくあるベタな決まり文句を叫んだところで目が覚めた。

枕元ではスマホのアラームが“リンゴンリンゴン”とけたたましく鳴り響いている。

へ……変な夢見た……。

かなりうなされていたのか、全身汗でびっしょりだ。

アラームを止めて起き上がろうとしたものの、身体中がだるくて力が入らない。

おまけになんだかとても体が熱いような……。

もしかして熱でもあるのかなと思っていると、ドアをノックして母が部屋に入ってきた。

「モモ、起きてる?」

「うん……今起きたんだけど……なんか体がおかしい。熱があるかも……」

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