インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「……なんで知ってんの?」

「尚史くんが洋子ちゃんからお使い頼まれて、出掛ける前にうちに来たの。いつもよりおしゃれしてたから『これから出掛けるの?』って聞いたら、『モモと出掛ける約束してる』って言ってたから」

洋子ちゃんというのは尚史のお母さんで、私は小さい頃から『洋子ママ』と呼んでいる。

ちなみにうちの母は久美子で、尚史も小さいときは『久美子ママ』と呼んでいたけど、成長と共に恥ずかしくなったのか、いつの頃からか『久美子さん』と呼ぶようになった。

なんでも昨日尚史は洋子ママに頼まれて、田舎から送ってきた野菜のおすそわけをうちに届けに来たときに、私がひと足先に出掛けて駅前のショッピングモールに服を買いに行ったことを母から聞いたらしい。

……そうか、だから尚史は私があそこにいたことを知っていたんだな。

『モモ探知機だから』なんて言っていたけど、おかしいと思った。

いくら尚史でも、なんの手がかりもなく私の居場所がわかるはずがないもんね。

「で、昨日は尚史くんとどこに行ってたの?」

「……シーサイドガーデン」

「あんたたちがそんな人の多い場所にわざわざ行くなんて珍しいわね。何か買いたいものでもあった?」

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