インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
私の背中を拭いている間も尚史はなんともなさそうな顔をしていた。

それはおそらく歳相応の経験があるからなんだろう。

もし尚史が私の裸を見たとしても、幼馴染みの裸なんていまさらなんとも思わないとか、モモの体は色気の欠片もないとか言うに違いない。

とは言え私は尚史に裸なんか見せるつもりもないし、私と尚史に限ってそんな状況になるわけがないけど。

そんなことより、尚史が戻ってくる前に体を拭いて着替えを済ませておかなければ。

急いでパジャマを脱いで体を拭き、きれいなパジャマに着替え、使ったタオルや脱いだパジャマを持って下に下りる。

脱衣所の洗濯かごにパジャマとタオルを入れて洗面台の鏡を覗き込むと、なんとなく自分の顔がいつもとは違うように感じた。

心ここにあらずと言うか、何かに心を奪われたような、ぐったりともぼんやりともつかない、なんともしまりのない顔をしている。

久しぶりの高熱で疲れてしまったのかも知れない。

知恵熱、恐るべし。

部屋に戻りベッドに横になって天井を見上げた。

この調子で夜のうちに熱が下がれば、明日はシャワーを浴びてから仕事に行けそうだ。

そのためにも今夜は早く寝てしまおう。

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