インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
ゆっくり話したいことってなんだろう?

仕事のことは私にはわからないから話してもしょうがないし、また漫画の話とか……いや、もしかするとお付き合いをしたいとか、そういうこと?

まだ一度食事をしただけなのに、そこまで期待するのは早すぎる?

首をかしげながら返信の内容を考えていると、尚史が私の方をチラッと見た。

「八坂さんから?」

「うん……明日の晩、食事でもどうかってお誘い。お酒でも飲みながらゆっくり話したいって」

尚史は少し眉間にシワを寄せて視線を手元に戻し、また雑誌を読み始めた。

「ふーん……。で、行くの?」

「断る理由がない」

「俺と言うものがありながら……。この浮気者」

なんの冗談だ、それは。

彼氏の演技もここまでくると主演男優賞級だ。

「浮気って……。尚史は八坂さんと付き合うための仮想彼氏なんだから、相手が八坂さんなら浮気とは違うでしょ?」

「ハイハイ、そうですね」

尚史はムッとした顔で雑誌のページをめくる。

最初からそういう話だったのに、どうして尚史はそんなに不機嫌そうな顔をしているんだろう。

< 220 / 732 >

この作品をシェア

pagetop