インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「あんた……自分が何やってるかわかってんの?警察に突き出そうか?」

「あっ……いや、これは合意の上で……」

「言い訳するな!どこが合意の上よ、この子泣いてるじゃない!とにかく早くどきなさい!」

その人は八坂さんの襟首をつかんで私の上から引きずり下ろした。

そしてゆっくりと私の体を起こし、ブラウスのボタンを留めて優しく背中をさすってくれた。

「大丈夫?ごめんね、このバカがひどいことして。怖かったでしょう?」

目の前で何が起こっているのか、そしてこの女の人は一体誰なのか。

何がなんだかさっぱりわからないけれど、私はこの人に助けられ、なんとか乙女のピンチを免れたらしい。

ホッとしたらまた涙が溢れてこぼれ落ちた。

「こ……怖かった……」

「無理やりしようとしたことに関してはもちろんこの男が悪いけど、あなたももうちょっと自分を大事にした方がいいね」

この人の言うことはもっともだ。

断ることだってできたのに、こうなる可能性があることを最初からわかっていて、私は私の意志でここに来た。

あわよくばそれが結婚への近道になればいいとさえ思っていた。

だけどいざとなると怖くなって拒んだ。

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