インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
勢いに任せて放ったその言葉は、諸刃の剣のように私の胸にも深く斬りかかった。

恋だか嫉妬だか知らないけれど、私はこんなバカみたいなことで、ずっと大事にしてきた尚史を自ら切り捨てようとしている。

私が尚史を嫌いになんかなるわけないのに、本当は大好きだから一緒にいたいのに、今は尚史と一緒にいるのがつらい。

こんな風に思ったのは初めてだ。

尚史は両手でつかんだ私の顔に自分の顔を近付け、私の額に額を押し当てた。

「ホントに……?俺、もう幼馴染みやめていいの?」

「……やめたかったの?」

「やめたかったよ。でも、モモが好きなのは幼馴染みの俺だってわかってたから、やめたくてもやめられなかった」

最高の幼馴染みだとか、ずっと一緒にいたいと思っていたのは私だけで、尚史はそんなことを考えていたんだ。

私は大人になっても気持ちだけは子どものままで、知らず知らずのうちに尚史を縛り付けていたのだと気付く。

本当は尚史も周りの同年代の男の人と同じように、私のお守りなんかするより、普通に恋愛がしたかったのかも知れない。

「そっか……。ごめんね、今まで気付かなくて。じゃあ……もうやめよう」

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