インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「うっ、うーっ……」

私はとうとう堪えきれなくなって、布団に顔をうずめたまま嗚咽をもらした。

「大丈夫か?泣くほど痛い?」

尚史はベッドに近付き、心配そうな声でそう言って、大きな手で私の背中をさすった。

心配するふりなんかしなくていいのに。

私の背中をさすったその手で谷口さんに触るんだと思うと、今度はどうしようもなく腹が立って余計に涙が溢れた。

「……触んないで。出てって」

「モモ……?」

「他の人探すから、お情けで結婚なんかしてくれなくていい。だからもうほっといて」

「え……なんで?納得いかないんだけど。俺、なんかモモに嫌われるようなことした?」

「尚史なんか嫌い!大っ嫌い!だから出てって!」

尚史は私の手から無理やり掛け布団を奪い取り、両手で私の顔をガシッとつかんだ。

涙でぐちゃぐちゃになった顔なんか見られたくないのに、その手を必死で払いのけようとしても、尚史の手はびくともしない。

「そこまで俺が嫌いか?だったらせめて理由を言え」

「やだ!言いたくない!」

「またそれかよ!言わなきゃわかんねぇじゃん!」

「だったら一生わかんなくていい!もう幼馴染みもやめる!」

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