インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
こうなったら何がなんでも、おばあちゃんの目が黒いうちに結婚してやる……!

並々ならぬ闘志を燃やしながらカレーライスを掻き込み、尚史の手を引っ張って自分の部屋に駆け込んだ。

私の部屋の勝手知ったる尚史はいつものようにテレビの前に座り込み、ゲーム機とテレビの電源を入れる。

「モモ、婚活すんの?」

「うん、するよ」

「なんでまた急に……。恋愛なんて漫画の中だけでじゅうぶんだって、ずっと言ってたのに」

尚史は不思議そうにそう言いながら、ゲーム機のコントローラーを差し出した。

私は尚史の隣に座ってコントローラーを受け取り、クエストに付き合いながら、光子おばあちゃんが医師から余命3か月の宣告を受けていることや、認知症の影響で私がもうすぐ結婚すると思い込んで楽しみにしていること、そして私はなんとかその願いを叶えてあげたいと思っていることを話した。

「それ、かなり無理がないか?」

「私もそう思うよ。だけど無理でもやるって決めたの」

「だから合コン?」

「あれは本当に、後輩に頼み込まれて仕方なく行ったんだけど……出会いがなきゃどうにもならないから行ってみたってのもある。あ、それ拾って」

尚史はフィールド上に落ちているアイテムを拾って持ち物を確認しながら、軽く首をかしげた。

< 34 / 732 >

この作品をシェア

pagetop