インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「ふーん……。だとしても、合コンなんかで知り合った相手といきなり結婚はないな」

「そうかも知れないけど……一応やるだけのことはやらないと落ち着かないって言うか」

尚史はダンジョンに入る手前で立ち止まり、道具袋の中で溜まりに溜まった薬草を私のゲームキャラにいくつも与えて体力を回復させる。

「で、八坂さんと付き合おうと思ってるわけ?」

ダンジョンへ潜入して最初に遭遇した敵との戦闘が始まると、尚史はキャラを操作しながらテレビ画面の方を向いたままで尋ねた。

見てないようで見てるんだな。

別に隠すほどのことでもないし、今後相談に乗ってもらったりするかも知れないから、一応話しておいた方が何かと都合が良さそうだ。

「さすがにあの短時間でそこまでは……。でも今度一緒にランチとか飲みに行こうってお誘いはあったし、連絡先の交換もしたよ」

「ふーん……モモにしてはやるじゃん。そんで、うまくいきそうか?」

「周りに他のみんなもいたし、話し上手な人だったから今日はなんとか会話ができたんだけど……二人になるとどうだろう、あんまり自信ないな」

「あー……モモは『男』が苦手だもんな。新たな武勇伝が生まれるんじゃないか?」

「それはもう言わないでよ……」

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