インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
まだ会社の近くなのに手を繋ぐの?!

同僚に会ったら恥ずかしいんだけど!

「尚史……もし誰かに見られたら……」

「ん?気にすることないじゃん、会社は出たんだし、新婚だしな」

そういう問題か?

『遠慮なく手を繋ぎたい』とは言っていたけど、ホントに遠慮しないんだな。

っていうか……今、さりげなく『新婚』って言ったよね?!

入籍したんだし確かにそうなんだけど、改めて言葉にされるとものすごく照れくさくて、一気に顔が火照ってきた。

尚史はどうなんだろうと思ってチラッと見上げると、その横顔はほころんで、すこぶるご機嫌なようだ。

尚史に手を引かれて歩いていると、キヨの店とは違う方向へ向かっていることに気付いた。

「尚史、どこに向かってるの?」

「ん?たまにはいつもと違う店に行こうと思って」

てっきりいつものようにキヨの店に行くのかと思っていたのに、今日は別の店で食事をするつもりらしい。

「いつもと違う店って?」

「ほら、そこのオムライス専門店」

尚史が指差した先には、若い女子が好みそうなオシャレで可愛らしい店構えのオムライス専門店があった。

夕食の時間にはまだ少し早いのに、店先にはすでに順番待ちの列ができ始めている。

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