インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
オムライスの店を出ると、尚史はまた私の手を引いて歩き始めた。

やっぱり行き先は教えてくれない。

「次はどこに行くの?」

私が尋ねると、尚史は私の顔も見ないで目的の方向に向かって歩きながら答える。

「デザート欲しくない?」

「デザート……?」

デザートならさっきのオムライス専門店でも食べられたはずなのに。

店を変えてまで食べたいものでもあるのかな?

「何か食べたいものでもあるの?」

「食べたいって言うか……」

私の問い掛けに尚史はゴニョゴニョと口ごもり、そのまま目的地を目指して歩く。

それから尚史は無言のまま10分ほど歩いて、これまた若い女子が好みそうな店を指差した。

「やっと着いた。ここ、マンゴーのタルトと桃のパフェがめちゃくちゃ美味しいんだって」

「へぇ……マンゴーのタルトがね……」

残念ながら私はマンゴーが苦手だ。

甘くて美味しいものもあるけど、パッションフルーツ特有の酵素のせいなのか、たまに舌がキシキシと軋むようなエグみがあったり、なぜか粉っぽく感じることがあって、それがとても不快だから、よほどの理由がないとマンゴーは食べない。

< 367 / 732 >

この作品をシェア

pagetop