インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「悪いけど……私、マンゴー苦手なんだ」

「えっ、そうだっけ?」

「ついでに言うと、桃も別に好きじゃない。それにもうお腹いっぱいだから、デザート入らないかも」

「……そっか。じゃあ今日はやめとく?」

「うん」

わざわざ連れてきてくれた尚史には申し訳ないけど、今の私はすでに谷口さん情報でお腹いっぱいで、谷口さんイチオシのスイーツを笑って食べられるほどの強靭なメンタルと胃を持ち合わせてはいない。

「今日は金曜だけど、キヨの店には行かないの?」

早くいつもの尚史とお決まりのコースに戻って欲しくて、あえて冷静な口調で尋ねた。

尚史は少しうろたえながら、ポケットからスマホを出して時間を確認する。

「その前にもうひとつ、寄りたいところがあるんだ」

尚史が行きたがる場所なんて、ゲームセンターとかゲームショップとか本屋とか、とにかくゲームに関係しているところばかりだけど、どうしても今日買いたいものでもあるんだろうか。

「寄りたいところって?」

「行けばわかる」

行き先を告げられないまま歩いていると、尚史がなんの前触れもなく私の手を引いてある店に入ろうとした。

< 369 / 732 >

この作品をシェア

pagetop