インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
一体なんの店かとガラス窓の向こうを覗いてみると、店内のショーケースの中にはたくさんのアクセサリーが並べられている。

店の外から見ても照明に照らされたアクセサリーがキラキラピカピカして、どう考えたって私と尚史には不似合いな縁遠い場所だ。

「尚史……店間違えてるんじゃないの?」

「間違ってないけど」

「だってここ、ジュエリーショップって書いてあるよ?ほら」

私が看板を指差して言うと、尚史は呆れた顔をしてため息をついた。

「そんなことはわかってるよ、来ようと思って来たんだから」

これまでまったく興味を示さなかった貴金属や宝石に興味を持つなんて、一体尚史に何が起こったんだ?!

もしかしてゲーマーを卒業してジュエリーヲタクにでもなる気なのか?

「なんで急にこんな店に……」

高級感の漂う店の雰囲気にビクビクしながら尋ねると、さらに尚史は呆れた顔をして私の額を小突いた。

「なんでって……決まってんじゃん、俺ら結婚したんだよ?夫婦(めおと)の証が必要だろうが」

「……と、申しますと?」

「もちろん結婚指輪だろ」

「けっ、こんユビワ?!」

思ってもみない言葉が尚史の口から出てきたことに驚き、私の脳内は『ケッコンユビワ』の文字を漢字変換することもできない。

< 370 / 732 >

この作品をシェア

pagetop