インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「もしそうなったら……覚悟して行くつもり」

「ふーん……。まぁ、相手が誰だろうと焦ってあんまり無理すんなよ。また新たな犠牲者が出る恐れがあるからな」

「わかってる……。もうあんな失敗はしないよ」

笑い話のようだけど、私はそのときに感じた恐怖がきっかけで性的な意味で私を『女』として見ている男性に対して苦手意識を持つようになり、それ以降恋愛戦線から退いたことを尚史は知っているから、これでも一応心配してくれているのだろう。

また新たな『武勇伝』を作って尚史に大笑いされることだけは避けたい。

婚活の前にまずは私の男性に対する先入観をどうにかするべきかも知れない。



合コンから2日後の水曜日の夜、夕飯を終えてベッドに寝転がり婚活マガジンをぼんやり眺めていると、スマホからトークアプリの通知音が鳴った。

また尚史がクエストに付き合えと言ってきたのかと思いながら枕元のスマホの画面を覗くと、そこには『八坂さん』と表示されていた。

予想外のことに驚いて跳び上がり、ベッドの上に正座してトーク画面を開く。

【モモちゃんこんばんは、八坂です。先日はモモちゃんと話せて楽しかったよ。もっとたくさん話したいので、明日のランチ一緒にどうかな?】

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