インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
谷口さんとはお兄さんを交えてキヨの店に行っただけだと言っていたのに、一緒に回ってもらったということは、谷口さんと二人で会ってたってことだよね?

また胸の奥にモヤッとしたものが生まれ、無性に腹が立ってきた。

「ふーん……谷口さんがね……。ずいぶん仲がよろしいことで」

「ん?俺の気のせいかな?なんかすごく言葉にトゲを感じるんだけど」

「別に。私の知らないうちに、そんなことまで相談できるくらい仲良しになったんだなって思っただけ」

「俺も人のことは言えないけど、モモはこういうことには疎いし、相談する女子が他にいないから」

それは私が女子力0だって言いたいのか?

確かに私はアクセサリーに興味がない。

ついでに言うと、美容にもオシャレにも無頓着だ。

だけどそれを尚史に指摘されるとは思わなかったし、二人のことを相談するために他の女の子と会っていたんだと思うと、モヤモヤを通り越してイラッとくる。

「そんなことより、とりあえず指輪選ぼうか」

今、『そんなこと』って言った?

それに『とりあえず』ってなんだ?

そこに深い意味などないとわかっているのに、なぜか無性に腹が立って、どうしようもなく苛立つ。

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