インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
他社との仕事の打ち合わせのような文章だと思いながら返信すると、【じゃあ明日の昼休みにアンバーで。会えるの楽しみにしてるよ】とすぐにメッセージが届く。

さすが八坂さん、リプも早い。

きっとこの人は彼女に対してもマメで優しくて、誰から見ても『良き彼氏』なのだろう。

そんな人が私なんかといてホントに楽しいのかとは思うけれど、とりあえずこれで一歩前進だ。



翌日の昼休み。

私はガチガチに強ばった顔で八坂さんと向かい合って食事をした。

もちろん二人きりだから、どこからも助け船は出ない。

それでもなんとか心を強く持ちたいからと、みっちゃん、佐和ちゃん、アキちゃんにお願いして近くの席で食事をしてもらった。

八坂さんは終始笑顔を絶やさず穏やかな口調で話してくれたけれど、私は相槌を打つのが精一杯だった。

こんな調子じゃ次はないな。

そう思いながら肩を落として食後のコーヒーを飲んでいると、八坂さんは頬杖をついて私の顔をじっと見た。

「前も思ったけど、モモちゃんって人見知りしちゃう人?それともあんまり男の人と話すことに慣れてないのかな」

確かに私は少し人見知りする方だし、特に慣れない男の人と話すのは苦手だ。

どうせ次はなさそうだし、バレているなら隠しても意味がない。

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