インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「ええと……はい、そうですね。男の人だと余計に緊張しちゃって……」

「それでも来てくれたっていうことは、俺はモモちゃんに嫌われてはいないって思ってもいいんだよね?」

もちろん八坂さんを嫌う要素なんてひとつもない。

嫌うどころか、私にはもったいない……いや、一緒にいるのが申し訳ないくらいのいい人だと思う。

だけどそれをうまく伝えるのは難しいから、私は黙ってうなずいた。

「良かった。じゃあまた誘ってもいい?」

えっ、また誘ってくれるって?!

この人、ホントに神かな……?

真剣に拝んだら何かしらのご利益があるんじゃない?

ありがたいお言葉に呆然としていると、八坂さんは少し首をかしげて、いたずらっぽい目で私の顔を覗き込む。

「ダメ?」

「だっ、ダメだなんて滅相もない……!」

「そう?じゃあ……今週末は俺出張だから……来週の土曜日、デートしよ?」

「で、で、デートっ……でございますか……?」

焦って変な言葉遣いになってしまったので、八坂さんは笑いをこらえてうなずいた。

「ええ、デートでございますよ」

一度二人でランチをしただけなのに、次はもう週末デートって……!

それ早くない?

早すぎない?

いや、でも断ったりしたら確実に次はない。

このチャンスを逃してなるものか!

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