インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
尚史は今にも飛び上がりそうな勢いで、元気よく返事をした。

だから声が大きいって!

尚史はいつも無気力で何事にも無関心なくせに、私のことになるとバカになってしまうらしい。

これからは気を付けないと。

それから指輪のサイズを計り、ピッタリのものを用意してもらった。

この店は通常他の店には置いていないサイズのものもあるそうで、サイズ直しに日数を取られることもなく、買ってすぐ身に着けられることで人気なのだと尚史が教えてくれた。

「指輪の裏に入れる刻印はどのようになさいますか?」

店員さんに尋ねられて、私たちは顔を見合わせた。

指輪の裏に入れる刻印って……英文だよね?

自慢じゃないけど、私も尚史も英語にはそれほど強くない。

店員さんは人気のある刻印の例文が書かれたシートを見せてくれたけど、どれもしっくり来ない。

尚史は腕組みをして考えるそぶりを見せたあと、スマホで何やら文字を入力して検索し始めた。

「じゃあ、これでお願いします」

尚史が店員さんに見せたスマホの画面には、『I love you just the way you are』と書かれていた。

< 408 / 732 >

この作品をシェア

pagetop