インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「あ、そっか、ごめん。急にそんなこと言われても、モモちゃんにも予定とかあるよね」

「いえ、まったく!私、休みの日はだいたいいつも家にいますのでご心配なく!」

慌てて返事をすると、八坂さんは笑いをこらえきれずおかしそうに笑った。

「ご心配なくって……。モモちゃん、やっぱり面白いね。休みの日は家でのんびりする派?」

「ええ、まぁ……そうですね……。そんなとこです」

私の休日なんて昼近くまでゆっくり寝て、起きて漫画を読むか尚史とゲームをするくらいで、予定なんて呼べるほどのものじゃない。

来週の土曜日までにしっかりイメージトレーニングして、デートの準備を万全にしておかなければ!

「じゃあ改めて……来週の土曜日、俺とデートしましょう」

テンパってしまって、思わずいつもゲーム仲間と会話しているときみたいに『御意』と言いそうになったけれど、慌ててその言葉を飲み込んだ。

あぶないあぶない。

武士でもあるまいし、そんな言葉を使ったら変な女だと思われるか、深読みされてヲタバレするかのどちらかだ。

「はい……よろしくお願いします」

時間や待ち合わせ場所は日が近くなってから連絡を取ることにして、あと10分ほどで昼休みが終わる頃に店を出た。

みっちゃんたちも私と八坂さんのあとを追って店を出る。

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