インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
広いリビングでゲームをしたり、ソファーでも置いてゆっくり寛げそうだし、二部屋のうちの一部屋は寝室にして、一部屋は二人のお宝部屋にしても良さそうだ。

ここなら私の大量の漫画も難なく収納できそうだし、尚史の集めている大量のゲームキャラのフィギュアも余裕で飾れることだろう。

もしこの部屋に住んだらここにこれを置いて、あの部屋でこんなことをして……と想像すると、なんだかウキウキしてきた。

尚史はさっきから、通りに面した広くて陽当たりの良いベランダに出て、古本を見下ろしている。

目の前の古本がそんなに気になるのか。

おそらくと言うか、絶対に尚史は『ここにしよう』と言うだろう。

「いかがです?これでこの家賃はお得でしょう」

「そうですね。今まで見た中で一番いいかも」

私が本木さんにそう答えると、尚史は音がしそうなほどのすごい勢いでグルンと振り返った。

「モモ、俺はここがいい。ここにしよう」

「絶対そう言うと思った。いいよ、私もここが気に入ったから」

尚史にとっては古本の目の前と言うことが、何よりも魅力的だったようだ。

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