インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「それよりお腹空いたなーっ!キヨ、オムライスよろしく」

「俺はチャーハン大盛り、両方キヨのおごりで」

「ちゃっかりしてんなぁ……。まぁいいや、今日だけ特別な。急いで作るからちょっと待ってろ」

キヨは笑いながらそう言って厨房に入り、冷蔵庫を開けて料理の準備をし始めた。

私がチョコをひとつつまんで口に入れると、尚史が無言で口を開く。

もしやこの構えは、チョコを『あーん♡』してもらうのを待っているのか?

「尚史、何やってんの?」

「俺も食べたい」

「自分で食べたら?」

「モモに食べさせてもらえって、キヨが言った」

そんなことだけは素直に言うことを聞くんかい!

恥ずかしいからイヤだと言おうかと思ったけれど、たまには尚史を甘やかすのも悪くないなと考え直し、キヨが向こうを向いていることを確認して、尚史の口にチョコを入れた。

「どう?美味しい?」

「モモが食べさせてくれたものが美味くないわけがない。もう1個」

「しょうがないなぁ……」

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