インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「あのね、谷口さん。いまさらこんなことを聞くのもなんだけど……前に『尚史と付き合いたい』って言ってたでしょ?私が急に尚史と結婚したこと、どう思ってる?」

私が尚史と谷口兄がゲームを始めたのを見計らって、声のトーンを少し落として尋ねると、谷口さんは一瞬ポカンとしたあと、スマホをテーブルの上に置いてビールを一口飲んだ。

「どう思ってる?って……もしかしてモモ先輩、そのことがずっと気になってました?」

「うん……。だってほら……私は尚史と幼馴染みだってことも隠してたし、尚史とは前から付き合ってたわけでもなくて、事情があっていきなり結婚したから」

「その辺の事情はここで中森さんから聞いてますよ。じつは私、その話を聞く前に『私と付き合いませんか』って……」

「本人に言ったの?」

「はい、でも本人から直接断られる前に、キヨさんと兄に『無謀なことはやめとけ』って言われました。中森さんには昔からずっと好きな人がいるからって」

谷口さんは尚史と谷口兄と一緒に初めてこの店に来てゲームをしていたときに、尚史と私が物心がつく前からの幼馴染みで、尚史は子どもの頃からずっと私のことを想い続けているのだとキヨから聞かされたそうだ。

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