インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
要するにこの人は、私は幼馴染みじゃなければ尚史に好きになってはもらえなかったと、そう言いたいわけね。

そっちがその気なら私も黙ってはいられない。

負けず嫌いの私の闘争心に火がついてしまった。

これくらいのことで取り乱してわめき散らすのはみっともないから、あえて笑って冷静に返してやろう。

「不公平の意味がわからないんだけど。だいたい私は付き合うことになるまで、尚史から好きだって一度も言われたことがなかったんだから、気付くわけないと思うのね。尚史が水野さんからの告白を断ったのは、付き合いたいとか、私以上に好きだと思えなかったからでしょ?私が幼馴染みでも尚史が水野さんを好きなら普通に付き合ってたと思う」

淡々と言葉を返すと、わずかながら水野さんの口元が悔しそうに歪んだのを、私は見逃さなかった。

リナっちは跳び跳ねそうな勢いで、何度も大きくうなずいている。

かなり興奮しているようだ。

──勝ったな。

心の中で勝ちどきをあげようとすると、尚史があわてた様子で私の手をつかんだ。

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