インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「え……?尚史と水野って、昔付き合ってたのか?!」

兄者はオロオロしながら誰にともなく尋ねた。

そんな気はしていたけど、やっぱりそういうことか。

私のイヤな予感は的中したわけだ。

そう思っていたら、水野さんが声をあげて笑った。

「さっきも言ったけど、ヒサは私が何度付き合おうって言っても断った。だから彼女にはなれなかったけどね、ヒサの初めての相手にはなれたし、そのあとも何回もしたよ。ね、ヒサ?」

「おい水野、やめとけ!そんなの今言うことじゃないだろ?」

これ以上荒らすまいと思ったのか、キヨがあわてて止めようとしたけれど、水野さんはまったく聞く耳を持たない。

尚史に女性経験がまったくないとは思っていなかったけれど、尚史と体の関係を持っていた本人からそれを聞かされるとは思わなかった。

ああ、そうか。

だから尚史はあのとき、『男は相手のことがたいして好きじゃなくてもその気にさえなればキスもセックスもできる』と言ったんだ。

実体験だから言えたのかも知れない。

尚史はずっと私のことが好きだったと言ったけど、それとは別のところで性欲を満たしていたと言うことか。

< 533 / 732 >

この作品をシェア

pagetop