インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
なんとなく言葉を濁してやり過ごしたけれど、もしかして、ほとぼりが冷めるまではこんな調子で気を遣わなきゃいけないのかな?

私が気を遣うのはおかしいような気もするけど、私と結婚する前にあった過去のことで無駄にもめたくないし、水野さんとはもう会わないんだから、気にしない方がいい。

尚史と二人で平穏に暮らしていくためには、そうするのが一番だと自分に言い聞かせる。

触れずにいたら尚史もそのうち忘れるだろう。

それまでの辛抱だ。


戸締まりをしたあと、荷物が多くなりそうなので尚史の実家で車を借りて、駅前の商業施設に行くことにした。

「いくら近くとは言え、こう頻繁に車を借りるのもあれだから、俺たちも車買った方がいいかな」

「でも車は買ったあともお金がかかるよ。ガソリン代とか、自動車保険とか車検とか、それに税金も」

「軽ならなんとかなりそうだけどな。最近の軽は広いし、燃費もいいし、使い勝手が良さそうだろ。それに保険も車検も税金も安いし」

「今はまだ車の維持費がちゃんと払えるかどうか、ちょっと不安かな。生活費がどれくらいかかるか把握できてから、どうしても必要なら買うことにすればいいんじゃない?」

「それもそうか」

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