インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
尚史は『ある時を境に、水野の服装とか髪型がだんだんモモに似てきたことに気付いたのは、もう少しあとになってからだったけど』と前置きして、一夜を共にしたあとも、自分のしたことの罪悪感で水野さんとそれまで通りの『仲の良い友達』の関係を装ったと言った。

「それからしばらくは何事もなくて、元通りの関係に戻れたのかなと思ってたんだけど……秋頃にモモが男と歩いてるのを偶然見掛けたんだ。実際にこの目でそれを見たのがショックで、すごいダメージ受けた……。モモは全然気付かなかったけど、そのとき俺は大学からの帰りで、たまたま水野と一緒にいて……水野が『ヒサの好きな御飯作ってあげるから、うちにおいでよ』って……」

私が他の男子と一緒にいるところを偶然目撃してショックを受けてしまったことを、水野さんは友達として慰めるために晩御飯をご馳走してくれるつもりでいるのだと思い、尚史は水野さんの誘いに応じたらしい。

約束通り豪華な手料理をご馳走になり、一緒にビールを飲んでいると、水野さんがテーブルの上で尚史の手を握りしめたそうだ。

「モモのことがまだ好きなのかって聞かれて……俺は『好きだ』って即答したんだけど、モモには彼氏がいるんだから、そろそろあきらめたらどうだ、って……。『でもやっぱりモモが好きなんだ』って答えたら、『じゃああの人の代わりでいいからしようよ』って言われた。モモだって彼氏としてるんだから、って」
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