インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
朝からなんだかニヤニヤして私を見ていると思ったら、そういうことか。

でも『愛する夫と、めでたく初体験致しました!』なんてことは恥ずかしくて言えない。

ここは当たり障りなく流しておこう。

「まぁ、なんとか引っ越しも済んで……ゆうべは尚史がカレー作ってくれたんだけど、炊飯器のスイッチ入れ忘れちゃって」

「いいねぇ、新婚さんはラブラブで。御飯が炊けるまでの時間も二人なら退屈しないってんでしょ?」

たしかに退屈する暇はなかった。

もしあの話が漫画とか小説なら、怖いもの見たさで「うっひゃあ、この女怖~い!それからどうなったの?」で済んだけど、現実なのだから恐ろしい。

……ん?それから?

尚史は『京都に行く』と水野さんに嘘をついて関係を断ち切ったわけだが、あれほどまでに尚史に執着していた水野さんが、なぜ尚史に騙されていたと知ってすぐにこちらに戻って来なかったのだ?

それこそ尚史に騙された腹いせに私を襲ったり、また私をネタに尚史を脅迫して関係を迫ってもおかしくはないような気がする。

水野さんが京都からこちらに戻ってきたと言うことは、また何か企んでいるのかも……?

「もしもだよ……?自分の彼氏とか夫が女の人に弱味を握られて、自分をネタに脅迫されて肉体関係を強要されたらどうする?」

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