インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
私は絶望している暇もなく通常業務を怒濤の速さで終わらせ、川村主任の置き土産を受け取り、急いで正しいデータの入力を始めた。

課長が他のグループにも応援を要請して、一心不乱に入力作業を進める。

定時のチャイムが鳴っても手を休めることなく入力を続ける私を、隣の席のアキちゃんが心配そうに見ていた。

「モモさん……明日は大事な日なんだし、今夜は準備とかいろいろと大変でしょう? あとのことは私が引き受けますから、キリのいいところで帰ってくださいね」

「みんなが頑張ってるのに、私だけサッサと帰るわけには……。大丈夫、始発までには終わらせる。そうだ、大事なこと忘れるとこだった」

ケーキ屋さんに注文した物を、数が多いので車で受け取りに行ってもらうことと、それを持って明日の11時半頃に迎えに来て欲しいとお願いするメッセージを父に送ったあと、再び集中してひたすらキーボードを叩いた。

こんなことになるなら、結婚式の前日ぐらいは有給を取っておけば良かったな。

そう思わなくはないけれど、それだと私の分までアキちゃんにシワ寄せが来てしまう。

とりあえず今は泣き言を言ってもどうにもならない。

私は心を無にして、マシンのごとく入力を続けた。

< 664 / 732 >

この作品をシェア

pagetop