インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「私も目の下にクマ作ってモモさんの結婚式に出席するのは絶対にイヤなので、できるだけ早く帰りたいです」

「必死で頑張るしかないね」

ペットボトル入りのお茶と、課長に買ってくるよう言われた栄養ドリンクを人数分かごに入れてレジに向かいかけたけれど、私は一度立ち止まった。

これまで一度も尚史の会社に行ったことはないし、そのフロアでエレベーターを降りたことさえないけれど、昼間と違ってこんな遅い時間に残っている人はほとんどいないだろうし、他の社員さんに怪しまれることなく差し入れを渡すくらいはできるだろうかと考えて踵を返した。

「どうかしました?」

「うん、ちょっとね……尚史に差し入れでもしようかなって」

「ホントにラブラブですねぇ。尚史さん、モモさんの差し入れと愛の力で普段の3倍は頑張れるんじゃないですか?」

「大げさだなぁ……。もう食べたあとか、早く終われるなら無駄になっちゃうかも知れないけどね……」

アキちゃんに冷やかされ、照れくささで顔を少し赤らめながら、栄養ドリンクとペットボトル入りのミルクコーヒー、そして尚史の好きなカツサンドと、普通のおにぎりの3個分くらいの大きさがある爆弾おにぎりを別のかごに入れた。

< 667 / 732 >

この作品をシェア

pagetop