インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「そういえば……あの話の続きは?」

「ああ……あれか。聞きたい?」

「聞きたい。ゆっくり話したいから、今夜は二人でお酒でも一緒に飲もうか」

「うーん……その前に、とりあえず風呂に入って頭崩したい」

尚史はスタイリストさんにきれいにセットしてもらった髪を、手でグシャグシャと崩した。

普段はしないようなキッチリした髪型は落ち着かないのだろう。

「でもその髪型、すごく似合ってたよ?」

「……カッコ良かった?」

「うん。王子様みたいだった」

「マジか。モモがそう言うなら、たまにはしてみるかな」

尚史は嬉しそうにそう言って、私の頭を優しく撫でる。

「モモは俺の予想以上に可愛かったし、めちゃくちゃ綺麗だった」

「ホントに?」

「ホントに。人に見せるのがもったいないくらいな」

「良かった。『綺麗だったよ』ってみんなから言ってもらえてすごく嬉しかったけど……私はやっぱり、尚史にそう言ってもらえるのが一番嬉しいよ」

私が素直にそう言うと、尚史はすごい勢いで体を起こして私に覆い被さった。

そしてこれでもかと言うほど頬擦りをくりかえす。

その姿はまるで飼い主にじゃれつく大型犬だ。

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