インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
恋をすると待ち合わせまでもがドキドキのシチュエーションになるのか。

次に尚史と待ち合わせるときは、試しにそれっぽいことを考えてみよう。

「晩飯、何か食べたいものある?」

「うーん……今は特にない」

「昼は何食った?」

「『アンバー』の日替わり。コロッケとエビフライだったよ」

いつもの尚史なら昼食が何であろうと「牛丼かラーメンでも食うか」と言うのが定番だけど、今日は『向かい合って食事をする』と決めているからか、別の店にしようと考えているらしい。

歩きながら辺りの店を見ていると、どの店でもカップルがテーブルを挟んで向かい合い、楽しそうに笑っている。

「向かい合って飯食える店なんか、そこら辺にいっぱいあるけど……どこがいいんだろう?」

「たくさんありすぎて迷っちゃうよねぇ。それにどこもおしゃれ過ぎて、なんとなく入りづらい」

カップルが好みそうな料理とか、それを食べられる店とか、デートで行きそうな店もよく知らないから、どこへ行って何を食べようかと考えるだけで、地図も持たずにダンジョンをさまよっているような気分になってきた。

それに私も尚史もおしゃれな店にはあまり行かないから、いざ入ろうとすると足がすくんでしまう。

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