インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「なんで?遠慮しなくてもいいのに」

「それだといつもと同じになるから」

またしてもなるほどと思ってしまった。

私と尚史が一緒に本屋に来ると、私は漫画売り場、尚史はゲーム雑誌か青年誌の売り場に行って、それぞれの欲しい本を探す。

それだと別行動になるからと言う理由で店の奥には行かず、二人で本屋を出た。

今日は本屋に用があったわけではなく、単なる待ち合わせ場所として選んだだけということだ。

よく考えると私と尚史は子供の頃からすぐ近所に住んでいることもあり、待ち合わせというものをあまりしたことがない。

強いて言えば仕事のあとで約束をしているときに、会社の入っているビルのエレベーターホールの先で落ち合うのが、唯一の待ち合わせだと言っても過言ではないだろう。

それ以外で会うのはだいたいどちらかの部屋でゲームをするときだし、珍しく外に出掛ける約束をしても、基本的にどちらかが相手の家に直接迎えに行くか、出先にいるときは現地集合だ。

『家が近いと便利』くらいにしか思っていなかったけれど、漫画ではカップルが待ち合わせの場所にドキドキしながら急ぐ姿がよく描かれている。

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