インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「やっぱりこの時間は混んでるな」

「ちょうど夕食時だからね」

メニューを広げて料理を選んでいるときは、何を食べようかとか、これが美味しそうだとか言って普通に会話をしていたのに、注文してメニューを閉じると二人とも黙り込んでしまった。

尚史は何も言わずに立ち上がりドリンクバーに向かう。

私は尚史がグラスに飲み物を注いでいる後ろ姿をぼんやりと眺めた。

こうして見ると尚史はやっぱり背が高い。

隣でアイスコーヒーを入れている男性より頭ひとつぶんくらいは高いし、手足が長くて肩幅も広いと思う。

その恵まれた体格をバレーとかバスケなんかのスポーツに活かせれば良かったのに、ゲーマーの尚史にとっては宝の持ち腐れだ。

仕事でもそれ以外でも座っている時間が長いのでかなりの猫背だし、ついでに言うと夜更かししてゲームをするせいでいつも寝不足だから、ゲーム以外の何に対しても無気力でボーッとしている。

見た目はそこそこなのにもったいない。

しかし私にとって尚史はこれがデフォだから、八坂さんみたいに背筋を伸ばしてシャキシャキ歩いて、目をキラキラさせてハキハキしゃべる姿は想像もつかないし、恋や仕事にイキイキしていたら尚史じゃないと思う。

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