雨上がりの恋
ほんの数秒の間、何かを考えていた様子の頼人が口を開く。

「とりあえず出ろ。家にいるのはバレてんだから、これ以上は待たせられないだろ。」

「で、でも…」

突然の母訪問にまだ狼狽える私に、頼人は優しく言いきかせるように言った。

「大丈夫だから。長く待たせると余計に怪しまれるだけだって。な、分かるだろ?」

「う、うん。分かった…」

逃げも隠れもできないなら、もう受け入れるしかない。

腹を括ったものの、玄関に一歩一歩近づく足取りはとても重くて憂鬱だった。

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