雨上がりの恋
「うぐっ」と前屈みになった視界の中には、母の手から離れ私に抱きつく一人の小さな男の子。

彼の頭は、ちょうど私の股の高さと同じ位置。

子供の頭は石頭だから余計に衝撃が。

彼は広く形のいいおでこを全開にして、大きく澄んだ瞳で私を見上げると

「みうたん♪」

と可愛い声で私を呼んだ。

3歳の陸は私の名前をまだハッキリと言えなくて、美優の “ ゆ ” がどうしても “ う ” になってしまうけど。

そのたどたどしい喋り方が、またこの胸をくすぐる可愛さだったりするのだ。

久しぶりに会った可愛い天使の笑顔に和まされ「りくー」と笑顔を向けた私は一瞬全てを忘れかけた。

陸を抱き上げた時、いつもよりワンオクターブ高い母の弾んだ声が突然聞こえた。

「あらっ!あらあら!!」
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