未来の約束
『美香は美香で、美和は美和じゃないか』

『頭では、ちゃんとわかってるの。でも・・・あの子を愛することは、美香を裏切るような気がしてできない』


親から子供が愛情を貰うことは、普通のことじゃないの?

それなのに、あたしにはその権利がないの?

次第に、自分が惨めになっていく。

なんで、あたしばっかり・・・

こんな想いをしなきゃイケないの?

言葉にできない感情が、プツリと切れた瞬間だった。


「お前から、歩みよってやれねぇの?親も人だから、過ちは犯す。やり直すチャンスくらい、与えてやれよ。今年は俺も顔だす予定だから、な?」

「・・・考えておく」

「あぁ。ちゃんと考えとけ」


ふっと、樋口は優しい笑みを浮かべた。

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