未来の約束
「・・・笑うなよ」

「え?」

「辛いのも苦しいのも、俺じゃない。美和だろ?だから頼むから、俺の前でだけはそんな風に笑わないでくれ」


一筋の涙が、美和の頬を濡らす。

その涙が、次から次へと溢れ出す。

その小さな体で、美和はどれだけのものを1人で抱え込んでいたのだろう。

全てを理解してやることなんて、一生できないのかもしれない。

でも少しでも良いから、美和の痛みや苦しみを分かち合いたい。

他の奴らと笑い合っても良いから、これから先、美和の涙を拭える人でいたい。


「結婚しよう、美和」

「あたしの話、聞いてた?」

「あぁ。だからこそ、美和と結婚したい。結婚なんて、紙切れ1枚の契約だと思ってたけど。でも今は、それで美和との未来が約束できる気がするんだ」


最後の最後まで、一緒にいれる権限付きの約束。

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