世界No.1の総長と一輪の花
*
「花!!!!!俺の花!!!!!」
冬樹くんに抱きしめられる私。
最近私は「帰る時は裏門から」と言われていたため裏門から出るようにしていた。でも、今日は…ぼーっとしていたら正門から間違って出てしまった。
冬樹くんと私を会わせないためにそう詩優は言ってたんだ……
「………冬樹…くんっ…」
「花、全部……花と離れた2年間のこと、全部聞いた」
「……っ…」
「花、俺の家で一緒に暮らそう。暴走族なんてのに関わるな。花はこっちの世界に来るべきじゃない」
以前の私なら絶対にすぐ断った。でも、今すぐ断れなかったのはきっと詩優のせい。
「……」
「花…残念だけど時間だ。俺を選んでくれるのであればこのスマホから連絡して。俺のもう一個のスマホに連絡できるから」
耳元でそっと言われて、私のブレザーのポケットの中にスマホを入れられた。
「愛してるよ、花」
冬樹くんは私の体を離して最後にそう言ってから私の頬にキスを1回。
…!?
突然の出来事に顔が熱くなる。
近くに止めてあった黒いバイクに跨って、冬樹くんは去って行った。