W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
恥ずかしくて部屋から出るとリビングの扉から顔だけ出して涼月の様子を見た。

「あ、静香ちゃん、何してんの?早くおいでよ」

「あっ」

引っ張り出されて、恥ずかしくてもじもじしてると、上から下までじっくりと見られて顎に手をやりにやりと笑う涼月。

「うん、やっぱり似合ってるよ。俺ってセンスいい!」

自画自賛してる様子に驚く。

「え、もしかしてあの服全部涼月さんが?」

「そうだよ。全部静香ちゃんに似合うと思って俺が選んだんだ。全部着てよね」

戸惑ってる静香の肩を抱き、ダイニングに連れて行かれると、美味しそうな朝食が並んでいた。

「これも涼月さんが?」

「そう、これでも俺料理得意なんだよ。さあどうぞ」

席に着くと、焼き立てのパンを持ってきてくれ正面に座る涼月。
テーブルの上には、コーンスープにスクランブルエッグとベーコン、チキンサラダにフルーツ入りのヨーグルトまでついてる。

「ふふ、梗月さんは料理はてんでダメなのに、そこは双子なのに違うんですね…」

伏し目がちに笑って言うと涼月は不機嫌そうにパンをかじる。

「あいつは天性の料理音痴だ。何度ゲテモノを食わされたことか…。今はあいつの事は聞きたくない…」

「すいません…」

「さ、いいから冷めないうちに食べて」

にっこり笑った涼月に力なく微笑んでスープをすする。

「美味しい」

でも、最近の食欲不振であまり食べられず、申し訳ないと思いながらもだいぶ残してしまった。

「もういいの?そんなんで足りるの?」

「すいません。最近ちょっと胃の調子が悪くて…」

口から出まかせを言うと梗月は慌てだす。

「え?大丈夫!?うちに胃薬とかあったかな?病院行こうか?痛くない?立てる?あ、俺が抱っこしようか?」

矢継ぎ早に質問して跪いて静香を抱っこしようとするから、その慌てぶりにおかしくて笑いながら手で肩を押した。

「ふふふ、大丈夫ですよ。さっきまで歩いてたのに抱っこなんていりません。」

「あ、そお?ははは」

照れ笑いをして立ち上がり静香の手を取って立ち上がらせた。

「ほんとに大丈夫?具合悪くなったら言ってよ?」

「大丈夫ですよ。すぐ直ります。涼月さん意外と心配性ですね?」

見上げた涼月の顔はほんのり赤くて、思わずかわいいと思ってしまった。

「さ、行こうか」

照れ隠しのように顔を背け玄関に向かう涼月に見られないようにこっそり笑った。


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