W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
この間、涼月に入り口前まで連れてってもらったけど、また目の前にドーンと建ってる本社ビルを見上げるとその大きさと重圧が自分にのし掛かって来るようで緊張した。

私こんな大きな会社で一体何をするんだろう…。

「さ、静香ちゃん行くよ。」

促されて入ったロビーは広くて目の前の受付では4人の綺麗な受付嬢が涼月を見て総立ちして頭を下げ、回りの社員達も軽く会釈している。
その間を軽く挨拶しながら颯爽と通り過ぎていく涼月はやっぱりここの専務で偉い人なんだと改めて思う。
通り過ぎると後ろからため息が聞こえ、ちらっと見ると受付嬢の皆が頬を高揚させて静香の前を行く涼月に釘付けになっていた。
やっぱりどこでも涼月は女性の注目の的。
そして静香を見てあれは誰?とひそひそ話してるのが聞こえる。
いたたまれなくて下を向いて先を急いだ。

最上階社長室の並びにある専務室に着くと眼鏡の男性が待ち受けていた。

「初めまして、専務専属の秘書をしております、坂巻と申します。この度は専務の我が儘にお付き合い頂いてありがとうございます」

「はあ?我が儘って何?」

「我が儘じゃないですか。いきなり結婚すると言ってみたり、職権濫用して呼びつけてみたり、突然仕事中に飛び出して行ったり…」

「い、いや、それは…」

ふてくされていた涼月は段々ばつが悪くなってきて慌て出す。
静香は挨拶もできないまま二人のやりとりを見て笑ってしまった。
二人は黙って静香を見るから今度は彼女が慌て出した。

「あ、あの、初めまして、新村静香と申します。至らないことも多いかと思いますが二日間よろしくお願いいたします」

「ふふ、よろしくお願いいたします。折角来たのですから本社の雰囲気を存分に感じてスキルを上げて梗月君の元に帰って下さい。今日から二日間は僕に付いて色々やってもらいます。」

「え~っ俺が呼んだのに!静香ちゃんは俺に付いてればいいの!」

「何を言ってるのですか。仕事で来てるのですから秘書としての仕事をきちんとしてもらいます。新村さん、いいですね?」

「も、もちろんです!よろしくお願いいたします!」

勢いよく頭を下げて、二人に笑われて、拗ねながらも諦めた涼月に手を振られ、一旦専務室を出た。
< 52 / 109 >

この作品をシェア

pagetop