W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
自分の殻に閉じこもり騙されやすい梗月を涼月なりに守っていたつもりだった。
それを知らない梗月は、ますます殻に閉じこもり、誰とも付き合わないようになり手の届かない孤高の人となっていた。
そんな梗月も屈託なく話しかける奈津子には心を開いていた。
奈津子と同じアメリカの大学に進み、ますます綺麗になった奈津子に初恋とは違う新たな恋心に気付いた双子。
そして、そんな奈津子の心を射止めたのは…

涼月だった…。

「最初に付き合っていたのは俺。奈津子もその頃はまだ俺と梗を見間違うことはほとんどなかった…。」

だけど、奈津子がアメリカの有名建築家の元に就職して忙しくてなかなか会えなくなっていた頃、たまに会うとこんなことを言っていた。

「私今、涼ちゃんといるのよね?なんだか最近どちらと会ってるのか解らなくなってきた…」

ぽつりと言ったその言葉を最初は気にしてなかったが、それと同じころ梗月の様子もおかしかった。
涼月となら屈託なく話していたのも言葉少なになり、顔を合わせても目も合わせ無くなっていた。
そして、決定的な瞬間が訪れる。

前澤さんが出張がてら双子に会いに来て、最初に会ったのは涼月で、そして…
双子が暮らしてる寮の前でキスをしてる梗月と奈津子を目撃した。

「これはどうなってるんだ!奈津子!梗!」

「涼…」

「な、なに?なんなの?どっちが涼ちゃんでどっちが梗ちゃんなの?わかんないわよ!」

攻め立てる涼月に黙ったままの梗月。
自分はどちらと付き合い、愛を交わしていたのか解らなくなっていた奈津子は自棄になって言い放った。

「二人とも顔がそっくりだからどっちか判らなかったわ。いいじゃないどっちでも。いずれはどっちかと結婚するんでしょ!」

「奈津子…お前…」

「・・・・」

それ以来、奈津子の言い訳は一切聞かず別れ、梗月は余計引きこもるようになり、大学卒業と共に双子は日本に帰って本郷グループに入社した。
最初は口を利かなかった双子たちだが、仕事で絡むことあるので、自然と元のようにはいかなくても話すようにはなっていた。
奈津子は自暴自棄になり付き合いが派手になっていると聞いていたが、二人はあえて何も言わなかった。

双子から愛され、そして拒絶された奈津子。
自棄になる気持ちも解らないでもない…本気で愛していたのなら…。

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