W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
「梗は…今でも奈津子の事、好きなんだろうな。俺から奪ったくらいだから…。だけど俺に遠慮してるのか奈津子と付き合うそぶりも見せずに、結婚しないと言い出した」

「奪う…」

梗月が言っていた「涼から奪ったものを返さなきゃいけない」と言うのは、奈津子の事なのだろうか?
それがなぜ、静香と涼月の結婚を進めることになるのだろう?

それに奈津子は本当は誰を、愛していたのか?

「あの…、奈津子さんは昨日、涼月さんとよりを戻したいと言っていたんですよね?」

「そ、そんなの冗談でも聞き入れられない話だよ!俺はもう静香ちゃんだけなの!なあ、俺と結婚しようよ。そうすれば奈津子と梗が結婚して、お互い好きなもの同士くっついていいじゃんか」

必死に説得しようと肩を掴み顔を覗き込んでくる涼月。

梗月さんは奈津子さんの事が今でも好き…。
自分が涼月と結婚すれば必然的に奈津子と結婚するのは梗月…。

私が今頷けば…梗月さんは好きな人と結婚で来て幸せになれるのであれば…。

「そうですね…。前向きに検討します」

「え?ほんと?マジで!?やったっ!嬉しいんだけどっ!」

静香の言葉に大喜びの涼月は静香を抱き締め絶叫。
まだ、検討すると言っただけなのにもう、じい様に紹介したら結婚式場をすぐに探しに行こう!なんて言ってる。
あまりの喜びように最初は呆気にとられていた静香も一緒になって笑っていた。

「幸せにするから、一生大事にする。静香ちゃん結婚しよう!」

「ふふ、はい」

梗月と同じ顔の涼月と結婚して、はたして自分は梗月の事を忘れることができるのだろうか?
きっと涼月の顔を見て苦しむのは自分。そう思いながらも喜ぶ涼月に釣られて頷いていた。

一緒に寝ようという涼月に今日は疲れてるからとやんわり断って一人ゲストルームに入った。

「これでいい、これで…」

ベッドに腰掛けスマホの中の梗月と二人で撮った写真を見つめ呟き、涙が流れる理由を解らないふりしてベッドに倒れこみ目を瞑った。
また、眠れない夜が更けていく。

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