W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
いったい何があるというんだろう…。

メールを見てるのに社長室が気になって上の空になっていると、しばらくして前澤副社長が出てきた。
慌てて立ち上がる。

「あ、あの、副社長。さっきのお話は…?」

「ああ、新村さんすまないね、戸惑わせちゃって。梗月君には言うなって止められてるけど…、ちょっと涼月君とプライベートで揉めたことがあってね。まあ、二人ともいい大人だから何かあるってこともないと思うんだけど、梗月君、酷く落ち込んでた時期があって、だから昔のようにぶり返さないか心配なんだよ。」

「そう、だったんですか…」

「梗月君たちのお父さん、本社社長の春月(しゅんげつ)さんは僕の大学の先輩でね、可愛がってもらった。家にもよくお邪魔して梗月君たちの成長を見守ってきたし、色々知っていてね…。おっと、これ以上言うとほんとに梗月君に怒られてしまうな。じゃ、新村さん、何をしてほしいってわけじゃないんだ、ただ、梗月君の傍に居てやってほしい。頼むよ。」

「は、はい。かしこまりました」

前澤副社長は静香の返事を聞いて、うんと頷き足早に帰って行った。

「兄弟喧嘩、してるってことかな?」

だから、二人が一緒にいるとこを誰も見たことが無いのだろうか?
顔を合わせたくないから兄は本社で、弟は会社を転々としてるのか?
梗月がこの会社に社長として就任したのは2年前。
その前は最初は本社にいたのに、ある時から転々と会社を移動していたという。
そこまでして会いたくないだなんて、いったい何があったのだろう。

「傍に居るだけでいいだなんて…、私、何かお役に立てることあるだろうか…」

社長室のドアを見つめながら呟いた。
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