W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
ついに笑いが漏れて笑顔をこちらに向ける春月。

「私も昔は騙されたよ。親父は意地悪なんだ。お前たちを試して楽しんでる」

また、ククッと笑っている。

「…なんだよ、じい様は人が悪いな」

「はあ…」

脱力した二人はソファーに背を預け項垂れる。

「もちろん、何も考えずに認めたわけではない。奈津子君は幼いころから知っている。自由奔放なところはあるが、涼月を理解し、支え合う相手と認識している。」

「は、はい」

奈津子は姿勢を正し、総裁に頷いた。

「静香くんは、昨日、涼月の心を見抜き自分の事より3人の幸せを願う心に感服した。梗月を支え寄り添える人だとわしは思う」

「いえ、あの…」

なんて言っていいのかわからなくて言葉が出ない。
梗月が安心させるように静香に笑いかけた。

「ま、精々愛想付かされないようにすることだ。女性は男を見限るとあっという間にそっぽを向く生き物だからな」

フォッフォッフォッと笑って総裁は立ち上がった。

「さて、いい余興を見せてもらった。腹が減ったな。飯でも食おう」

そう言って部屋を出て行こうとドアを開けるとそこに母のすみれが立っていた。
涙目になりながらハンカチを握りしめている。

「ああ、すみれさん。結局聞いてしまったのかい。君には兄弟喧嘩は刺激が強すぎだろうと席を外してもらったのに…」

困ったように総裁が言うと、すみれはかぶりを振った。

「いえ、途中から話を聞いていました。お父様、涼月と梗月のこと認めてくださってありがとうございます」

頭を下げるすみれの肩をポンと叩き出て行く総裁。

「すみれ・・・」

しょうがないとでも言うようにため息をつく春月。

思わず立ち上がり静香もすみれに頭を下げた。
息子二人の行く末を案じてどんなにハラハラしたことだろう。
梗月たちは気まずそうな顔をしている。
すみれは目尻の涙をハンカチで拭いて、にっこり笑った。

「さ、お夕食の準備が出来てます。皆一緒に食べましょう?」

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