身代わり令嬢に終わらない口づけを
「お前のいるところがいい」
「な……なんですか、急に」
「公爵夫人になり損ねたな」
「もともとそんなものになる気はないのでかまいません」
「公爵夫人は嫌か?」
「私はただの侍女ですよ? なれるわけが……」
「可能性の問題ではない。お前の気持ちを聞いているのだ、ロザリンド」
ふいに名前を呼ばれて、ローズは一瞬だけ口をつぐむ。
「……ローズでよろしいですと言ったではないですか」
昨日、ベアトリスとそろってから、ようやくローズはレオンに自分の本当の名を告げることができた。それなのに、どれだけローズでいいからと言っても、レオンは頑なにその名前を呼ぼうとしない。
「な……なんですか、急に」
「公爵夫人になり損ねたな」
「もともとそんなものになる気はないのでかまいません」
「公爵夫人は嫌か?」
「私はただの侍女ですよ? なれるわけが……」
「可能性の問題ではない。お前の気持ちを聞いているのだ、ロザリンド」
ふいに名前を呼ばれて、ローズは一瞬だけ口をつぐむ。
「……ローズでよろしいですと言ったではないですか」
昨日、ベアトリスとそろってから、ようやくローズはレオンに自分の本当の名を告げることができた。それなのに、どれだけローズでいいからと言っても、レオンは頑なにその名前を呼ぼうとしない。