身代わり令嬢に終わらない口づけを
「お前はもう俺のものだ、ローズ」

 ようやく唇を離してなお、ローズの頬に額に口づけを続けるレオンが言った。

「そして、たまには一緒に楽器を奏でよう」

 その言葉に、ようやくローズは微笑んだ。

「はい」

 今度は自分のために流した涙をぬぐうローズたちの横を、承認を終えたハロルドとベアトリスが笑顔で通り過ぎていく。寄り添うローズたちを見て、二人は幸せそうにうなずいた。


 その二人が扉の前に立つと、ゆっくりと大きな扉が開いていく。

 教会の外で待っていた人々の喜びの声がひときわ高くあがり、色とりどりの花々が風に舞い散った。微笑み合いながらあふれる光の中を歩いていくハロルドとベアトリスを、しっかりと手をつないだレオンとローズが見送る。



「レオン様」

「なんだ」

「私も、レオン様を愛しています」

 涙声で見上げたローズに、レオンは目を細めると、もう一度熱い口づけを落としたのだった。




fin

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