身代わり令嬢に終わらない口づけを
「またあなたの入れ知恵ですか?」 

「私はただ、一般的な女性とのお付き合いの仕方を教えて差し上げただけです。食事に贈り物……きっとこのあとはダンスを申し込まれますよ? 教えられて型通りの事しかできないのは、レオン様にとって女性の心をつかもうとするのが初めての体験だからです。スマートでないのは、どうかお目こぼしを」

 ローズは剣呑な目でエリックを睨むが、彼は気にした様子もなく微笑む。

「どうです、楽しまれましたか?」

「肩がこったわ」

「とてもよい感想です」

 ローズはため息をついた。
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