身代わり令嬢に終わらない口づけを
「ありがとうございます」

「あー……」

 言いにくそうにレオンが続けた。


「なんでも、これは女性に人気のある飲み物らしいが……苦手なら別のものを用意させよう」

 渡されたグラスの中では、透明な液体の中に気泡があがっている。一口飲むと、甘くて爽やかな花の香りがした。

 どうやらこれもエリックの差し金らしいが、レオンがそれを気にし始めていることにローズは驚いた。

(今言ったばかりなのに、怒りもせずに私の話を受け入れてくれるのね)
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