ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

「本場のミシュランシェフにそう言っていただけるとは、光栄です」

「あなたも料理を作るんですか?」

すると樋口さんが、「いえいえ」と間へ割って入った。

「大河原は料理なんて全く。というのも、あの商品ができたのはおいしい料理を提供したい、なんて高尚な目的とはかけ離れたいきさつがありまして」

「コーショー?」
「気高いとか、立派なって意味」

ライアンのフォローに頷いたサムさんは興味をそそられたみたい。
「それは、つまり……どういうことがあったんです?」

もちろん私たちも気になって、樋口さんの口元を注視した。


でも。
大河原さんの手がぺしっと樋口さんの頭をはたき、会話を強制的に打ち切ってしまった。
「お前、一度どこか子会社に出向しとくか」
「え? ちょ、ちょっと待ってくださいよ、横暴な!」
「お前の代わりなんかいくらでもいるからな。あぁリー専務、どうですか、こいつの代わりにうちへいらっしゃいませんか? 好待遇をお約束しますよ」

「条件次第では考えましょう」
あっさり応じるライアンに、樋口さんが一気に焦ってる。

「ちょ、リー専務っ! 大河原部長っ、よしてくださいよそんな話っ!」
「うるさい」
「わかりましたよっ! 黙ってればいいんでしょ。言いませんよ! 何もっ」

またしても口チャックする樋口さんに、スタジオがどっと沸いた。

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