ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

しばらく、お互いの近況を報告し合って。

共通の知り合いである編集さんの話や、仕事の話で盛り上がって……


時間が進むにつれ、チラチラと気になってしまうのは携帯だった。


どうしてバッテリーが切れかかってるの、気づかないかな私。
一応家電にメッセージは入れておいたけど、ちゃんと聞いてるかなライアン。
彼が家電使ってるとこ見たことないし、いまいち不安だ。

以前、同じようにバッテリーが切れて連絡が取れなくなった時、ものすごく心配させちゃったからな……

いつの間にか、頭の中は彼のことばかり。
会話も上の空になっていたらしい。


――そろそろお開きにするか。

雅樹の言葉に、私は「そうだね」ってそそくさとカバンを引き寄せた。
すると、くくっと忍び笑い。

――露骨にホッとしすぎ。
――え、あ……ごごめっ……
――いいよ。早く帰りたいんだろ。彼氏んとこに。
――え……えと、うん。ででもっ! 雅樹だって早く帰らなきゃでしょ? ミユキちゃん心配しちゃう。
――ミユキは……まぁ、俺のことはいいよ。それよりまた飲もうぜ。友達として、でいいからさ。
――うん、もちろん。

< 139 / 343 >

この作品をシェア

pagetop